キルゾーン(Kill Zone)はICT(Inner Circle Trader)系の概念で、機関投資家の注文執行やセッション開始・経済指標発表が重なるボラティリティが高まりやすい時間帯を指します。InnerCircleTrader.netは「FX市場でボラティリティと取引量が高まり、良い取引機会が生まれやすい時間帯」と説明しています。
重要なのは、キルゾーンに入れば必ず勝てるわけではないことです。時間だけで入るのではなく、時間・流動性・構造転換・価格が戻ってくる候補ゾーンが揃ったときに初めて候補になるフィルターとして使います。同じFVGやOrder Blockがあっても、キルゾーン外の時間帯では機関フローが続かないことが多いというのが実践者の共通した観察です。
(キルゾーンを知る前は、なぜ同じセットアップで日によって伸びたり止まったりするのか分からなかった。時間帯を意識し始めてから、「同じ形でも時間が違う」という見方ができるようになった)
キルゾーンの時間帯一覧
キルゾーンは必ずニューヨーク時間を基準に確認します。夏時間(EDT)と標準時間(EST)で日本時間への換算が1時間ずれるため注意が必要です。
| キルゾーン | NY時間 | 日本時間(夏時間) | 日本時間(標準時間) | 主な通貨ペア |
|---|---|---|---|---|
| Asian Kill Zone | 19:00〜22:00 | 翌08:00〜11:00 | 翌09:00〜12:00 | AUD/JPY・NZD/JPY・クロス円 |
| London Kill Zone | 02:00〜05:00 | 15:00〜18:00 | 16:00〜19:00 | EUR/USD・GBP/USD |
| New York Kill Zone(FX) | 07:00〜10:00 | 20:00〜23:00 | 21:00〜翌00:00 | USDメジャー全般 |
| New York Kill Zone(指数) | 08:30〜11:00 | 21:30〜翌00:00 | 22:30〜翌01:00 | NQ・ES・US30 |
| London Close Kill Zone | 10:00〜12:00 | 23:00〜翌01:00 | 翌00:00〜翌02:00 | USDメジャー・指数 |
| Silver Bullet | 10:00〜11:00 | 23:00〜翌00:00 | 翌00:00〜翌01:00 | EUR/USD・GBP/USD・NASDAQ |
各キルゾーンの特徴と使い方
Asian Kill Zone(19:00〜22:00 NY)
アジア時間は24時間サイクルの中でボラティリティが比較的低く、USD主要ペアが横ばいになりやすい時間帯です。AUD・NZD・JPY関連のクロス通貨が動きやすく、USDはコンソリデーション(方向感なし)になりやすいです。
- 使い方:大きなトレンドを狙うより、AUD/JPY・NZD/JPYなどクロス円での短期スキャルが現実的。15〜20pips程度の値幅が目安
- 重要な役割:Asian High / Asian Lowの形成。この高安がLondonのJudas Swing(流動性狩り)のターゲットになりやすい
- 見送り条件:DXYがアジア時間に異常に活発なとき、EUR/USD・GBP/USDで無理に取る必要はない
London Kill Zone(02:00〜05:00 NY)
ICT系で最も重視される時間帯の一つです。24時間サイクルの中で最も注文執行量が多く、その日の絶対高値または絶対安値を形成する確率が高いとされています。
- 基本ロジック:日足バイアスが強気なら「Londonで一度下を刈って→その後上昇」、弱気なら「上を刈って→下落」というPower of 3の構造を読む
- 使い方:Asian Killzone高安を記録しておき、London開始後にその高安が刈られるのを確認。その後のMSS/BOS確認後にFVGやOrder Blockへの戻りを待つ
- 重要な観察:Londonがレンジのまま明確な高安を作らない日は、重要な動きがNYセッションに送られることが多い
New York Kill Zone(07:00〜10:00 NY)
Londonの継続か、London高安を一度刈ってから本来の方向に戻るかを見極める時間です。8:30 NYの米国主要経済指標(GDP・雇用統計・PCEなど)のタイミングと重なることが多く、急なスイープと反転の触媒になりやすいです。
- 使い方:London高安への流動性狩りを確認→MSS/BOS確認後にOTE(Optimal Trade Entry)でFVG/OBへの戻りを待つ。20〜30pips程度の現実的な目標設定
- 重要な注意:8:30 NYのニュース直前は入らない。スプレッド拡大と初動の混乱が落ち着いた後にMSSを待つ
- 監視する流動性:London High/Low・前日高安・同値高安(Equal Highs/Lows)
London Close Kill Zone(10:00〜12:00 NY)
欧州勢がポジションを手仕舞う時間帯です。新しい大トレンドを追うより、すでに形成された日中高値・安値から日中レンジへの戻りを見る時間です。ICTの解説では15〜20pips程度の5分足OTEスキャルが出ることがあるとされています。
Silver Bullet(10:00〜11:00 NY)
ニューヨーク時間の10:00〜11:00の1時間に限定されたICT特有の手法です。London Closeとも重なるこの時間帯に特定のFVGセットアップを狙います。EUR/USD・GBP/USD・NASDAQが対象です。
キルゾーントレードの基本手順
ICT系ソースを統合すると、キルゾーントレードは次の順序で判断します。
- 上位足バイアスを決める(日足・4時間足):その日・週の強気・弱気方向を確認
- 流動性をマーキングする:Asian High/Low・前日高安・同値高安・Weekly High/Low
- キルゾーン開始を確認する:その時間帯が始まったら監視モードに入る
- 流動性取得を待つ:マーキングした高安が一時的に刈られるかを確認
- 構造転換を確認する(MSS/BOS):刈りの後に方向転換が起きたかを確認
- エントリーゾーンで待つ:FVG・Order Block・OTEへの戻りを待ってから入る
- 損切りと利確を設計する:損切りはスイープ外側、利確は反対側の流動性
TradingViewで使えるキルゾーン関連スクリプト
ICT Killzones [LuxAlgo] — フィボナッチ付きキルゾーン表示
☞ ICT Killzones [LuxAlgo] by LuxAlgo
各キルゾーンの価格レンジからフィボナッチリトレースメントを自動作図するスクリプトです。London Open・New York・Asian Closeのセッション背景色を表示し、各セッション内の最適なエントリーポイントを発見するために使います。

ICT Everything — ICT概念の総合ツール
☞ ICT Everything by coldbrewrosh
アジアレンジ・キルゾーン破線マーカー・マルチ通貨ペアのBullish/Bearish判定パネルなど、ICT概念の複数要素を一つにまとめた総合ツールです。キルゾーン以外のICT概念(セッション高安のスイープ等)と組み合わせて確認できます。

Session Killzones ICT Concept — 4キルゾーン+スウィープ自動削除
☞ Session Killzones ICT Concept by mahirtrade
Asia(20:00-00:00 NY)・London(02:00-05:00 NY)・NY AM(08:30-11:00 NY)・NY PM(13:30-16:00 NY)の4つの標準ICTキルゾーンをNY時間で描画します。未スウィープのセッション高値・安値を破線で延長表示し、スウィープされると自動削除します。DST(夏時間)自動対応とカウントダウンパネル付きです。

Trading Sessions [BigBeluga] — 4セッションをボリューム付きで表示
☞ Trading Sessions by BigBeluga
Tokyo・London・New York・Sydneyの4セッションを色分けボックスで表示し、セッションごとのボリューム・デルタ値をリアルタイムで確認できるスクリプトです。現在アクティブなセッションをリアルタイム表示します。

キルゾーンを使うときに知っておくこと
時間だけで入ってはいけない
「London Kill Zoneの時間になったからロングに入る」という使い方は機能しません。キルゾーンは「この時間に入れば勝てる」ではなく、「この時間帯に正しいセットアップが揃えばエントリーを検討する」というフィルターです。時間・流動性・構造転換・戻りゾーンが全部揃って初めて候補になります。
夏時間と標準時間のズレに注意
米国の夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜)と標準時間で、日本時間への換算が1時間ずれます。チャートをニューヨーク時間に固定するか、日本時間を自分で計算してチェックリストを作っておくのが確実です。
経済指標のスケジュールを把握する
8:30 NY(日本時間:夏21:30、冬22:30)は米国主要統計の発表タイミングです。この直前直後はスプレッドが拡大し、初動が激しくなります。ニュース後の混乱が落ち着いてからMSSを確認するのが基本です。