FVG(Fair Value Gap、公正価値ギャップ)はICT(Inner Circle Trader)が広めたプライスアクションの概念です。価格が強く一方向に動いたとき、3本のローソク足の間に買い手と売り手の注文が十分にぶつかり合わなかった価格帯が残ります。この「未処理の不均衡ゾーン」がFVGです。
FVGの3本足の定義はシンプルです。強気FVGは「1本目の高値と3本目の安値の間に重ならない空白がある」状態。弱気FVGは「1本目の安値と3本目の高値の間に重ならない空白がある」状態です。中央の2本目が特に大きな実体足になっていることが多いです。
(最初見たとき、ただの窓(ギャップ)と何が違うのか分からなかった。株のギャップより小さいし、3本足で定義するというのが最初は違和感あった)
TrendSpiderの説明によれば、FVGは「買いと売りのバランスが崩れた領域」を特定するプライスアクション概念で、一般的な窓開けとは異なる3本足構造で確認されます。価格がこの不均衡ゾーンに戻ってきたとき、元の方向への再開か逆方向への転換かを判断する実行ゾーンとして使います。
FVGの考え方:「埋まる」より「反応する」
初心者は「FVGは必ず埋まる」と覚えがちですが、より正確には「FVGは価格が戻ってきたときに反応しやすい不均衡ゾーン」です。反応の仕方は元の方向への再開か反転かで、必ずしも完全に埋まるわけではありません。
高品質なFVGの条件として海外ICT・SMC系で共通して重視されるのは次の要素です。
- 流動性取得の後:前日高安・スイング高安・ラウンドナンバーなどを一度刈ってから形成されたFVG
- ディスプレイスメントが強い:中央の足が大きな実体で、ヒゲが小さい
- BOS/MSS後に形成:市場構造の転換(Break of Structure/Market Structure Shift)後のFVG
- 上位足の方向と一致:日足・4時間足のバイアスと同じ方向のFVG
- ロンドン・ニューヨーク時間:出来高が出やすい時間帯に形成されたFVG
逆に、単純にチャートに出るFVGをすべてエントリー候補にするのは機能しません。上記の条件が揃わないFVGはノイズとして無視するのが基本的なアプローチです。
TradingViewで使えるFVGスクリプト
EdgeMachine - FVG Pro — ICTコンセプトのFVGを全時間軸で検出・管理
☞ EdgeMachine - FVG Pro by EdgeMachine
ICTコンセプトのFVGを全アセット・全時間軸で検出・描画・管理するスクリプトです。3本足のインバランスパターンを自動検出し、Bull FVG(緑)とBear FVG(赤)をゾーンとして表示します。ダッシュボードには現在アクティブなBull FVG数・Bear FVG数・Mitigation(ゾーンへの戻り)設定が表示されます。ノーリペイントと説明されています。

読み方と使い方
- 緑のゾーン(Bull FVG):上昇方向のインバランスゾーン。上位足バイアスが強気のときの押し目買い候補
- 赤のゾーン(Bear FVG):下降方向のインバランスゾーン。上位足バイアスが弱気のときの戻り売り候補
- ダッシュボードのMitigation設定:「50% Mid」はゾーンの中央(CE)に価格が達したらゾーンを緩和済みとして扱う設定
- ゾーン内の中央線(CE、Consequent Encroachment):ゾーンの50%水準。ここで反発が出るかどうかを確認する
- ゾーンを実体で抜けた場合:そのFVGは無効化。IFVG(Inverse FVG)として逆方向に使えることがある
他のスクリプトとの違い
ダッシュボードでアクティブなFVGの数をリアルタイム確認できる点が特徴です。FVGが多すぎる相場か整理された相場かを一目で判断できます。
MARX FVG + IFVG + VWAP + 7 EMAs — FVG・逆FVG・VWAP・EMAをまとめたスタック型
☞ MARX FVG + IFVG + VWAP + 7 EMAs by MARX_Loren
FVG・IFVG(Inverse FVG、無効化されたFVGの逆利用)・VWAP・7本のEMAを1つにまとめたスタック型インジケーターです。SMC系のFVG分析に必要な複数のツールを一括で表示できます。

読み方と使い方
- FVGゾーン(緑/赤):通常のFVG。価格が戻ってきたときの反応を見る
- IFVGゾーン:FVGが逆方向に抜かれた後、逆の圧力源として機能する可能性がある領域。無効化されたFVGを別の視点で活用
- VWAPライン:その日の参加者の平均コスト。FVGがVWAP付近にある場合、より重要なゾーンとして機能しやすい
- 7本のEMA:複数の時間軸の移動平均。FVGゾーンがEMAのクラスターとも重なっている場合、サポート・レジスタンスとして機能しやすい
他のスクリプトとの違い
FVGだけでなくIFVG(逆FVG)も表示する点がユニークです。FVGが無効化された後に逆方向の圧力源として働く可能性を考慮したトレーダーに向いています。
Dando — SMC・ICT手法に対応したオールインワン
SMC(Smart Money Concepts)とICT手法に対応したオールインワンスイートです。FVGに加えてBOS/CHoCH・オーダーブロック・流動性レベルなどSMC系の複数概念をチャート上に集約します。

読み方と使い方
- FVGゾーン:インバランスゾーンを自動表示
- BOS/CHoCH(Break of Structure/Change of Character):市場構造の転換点をマーク。FVGはBOS後に形成されたものを優先する
- オーダーブロック:機関投資家が注文を置いたと想定される価格帯。FVGとオーダーブロックが重なる場所は特に注目されやすい
- 複数概念の重なり:FVG単体より、BOS・オーダーブロック・流動性レベルが重なる場所の方が根拠が強くなる
他のスクリプトとの違い
FVG単体のスクリプトと違い、SMC手法全体をセットで見るためのツールです。FVGをSMCの文脈で使う場合、BOS・CHoCH・OBと組み合わせることが前提になるため、これらを一度に確認できるのが利点です。
FVGエントリーの基本モデル
FVGを使うエントリーで最も参照されているモデルは次の順序です(ICT系ソースより)。
- 上位足(日足・4時間足)でバイアス(強気か弱気か)を決める
- 重要な流動性ゾーン(前日高安・スイング高安)をマーキングする
- 流動性取得を待つ(高値・安値を一度刈ってから反転するかを見る)
- 大きな実体足のディスプレイスメントとBOS/MSSを確認する
- 形成されたFVGへの戻りを待つ(追いかけずにゾーンへのリトレースを待つ)
- FVGの入口・50%(CE)・奥側のどこでエントリーするかを決める
特にCE(Consequent Encroachment)はFVGの50%水準で、実践者が最も意識するレベルです。ゾーンの入口だけで反応することもありますが、CEまで入ってから反転するパターンも多いです。CEを実体で深く抜けた場合は、そのFVGの有効性が低下したサインとして扱います。
FVGを使うときに知っておくこと
FVGはどのチャートにも大量に出現する
FVGをチャートに表示すると、非常に多くのゾーンが表示されます。これは「FVGが機能する場所が多い」のではなく、単純に3本足の定義を満たす場所が多いというだけです。すべてのFVGをエントリー候補にすると機能しないゾーンだらけになります。流動性取得後・BOS後・上位足バイアス一致という条件でフィルタリングして、使えるFVGを絞ることが重要です。
IFVGはFVGが無効化された後を逆利用する
強気FVGが価格に上から実体で抜かれた場合、そのFVGは無効化されます(ミティゲーション)。この無効化されたFVGはIFVG(Inverse FVG)として、今度は逆方向(上値抵抗)として機能することがあります。FVGが失敗した場所がそのまま次の抵抗になるという考え方です。MARX FVGスクリプトがIFVGを表示するのはこのためです。
単体では使わず、SMCの文脈で使う
FVGはSMC手法の一部として設計されたコンセプトです。FVGだけを見てエントリーするのではなく、BOS/CHoCH・オーダーブロック・流動性・プレミアム/ディスカウントゾーンといった他のSMC概念との整合性を確認して使うのが基本的なアプローチです。